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奥多摩の秋(御岳・大塚山) [関東低山紀行]

奥多摩の秋(御岳・大塚山)

 

  御岳渓谷の紅葉を観るつもりで鳩ノ巣駅から電車に乗ると、隣の男女が紅葉がどうのこうのと喋る中、年寄りの男の方が「御岳渓谷は紅葉には早過ぎたなあ」と言うのが耳に入った。

  んで急遽方針変更。御嶽駅で降りるは降りたが、御岳渓谷には向かわず、バスから御岳山ケーブルに乗り継いで、御岳山頂上駅(831m)で降りた。時はすでに午後1時を回っているため、ほとんどの乗客が向かう御岳山(武蔵御嶽神社)とは逆方向の大塚山(920m)に向かう。山上は確かに紅葉が終わりつつあるが、所々はなお、黄色と紅が入り混じって陽と戯れている。

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  人っ子一人いない大塚山に着いたのが既に2時近かったため、休む間もなく丹三郎尾根を下り始めた。その辺りは小紫陽花(コアジサイ)の群生地帯で、薄暗い針葉樹林の間に小さな黄葉が点々と連なっていた。そんな中、佇立する毒々しい赤い実の房が目についた。実も茎も根もすべてが毒草の蝮草(マムシグサ)だ。だらりと垂れた大きな葉っぱを一丁前に黄色く染めていた(この写真の後に、比較のため、9日前に陣馬山で出遭った蝮草を再掲します)。

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  丹三郎尾根は緩やかな下りだけにどこまでも延々と続くようで、ただでさえ足が遅い我れ、古里駅にたどり着いたのは午後4時もまわる頃だった。この日は卑しい根性をさらけ出し、渓谷と山の選択に惑った挙句、どうも中途半端な旅にしてしまったようだ。これまでの半生、考えてみればいつもそんなだった気がするが、ま、それもいいか、惑うことこそ人生ならば。

20211117日)


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奥多摩の秋(鳩ノ巣渓谷) [関東低山紀行]

奥多摩の秋(鳩ノ巣渓谷)

 

  「大多摩ウオーキングトレイル」は白丸湖ダムの堰堤を過ぎると、鳩ノ巣渓谷に変わりJR青梅線鳩ノ巣駅下の雲仙橋まで続く。川辺に奇岩が犇めくため、ここでは多摩川の流れが極端に狭くなり、切り立つ崖にモミジが紅く燃えていた。

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  鳩ノ巣とは異な呼称だが、その昔ここの岩場の上に立つ玉川水神社に巣を営んだ雌雄の鳩がことのほか仲睦まじいために、いつかそんな地名が付いたという。鳩と言えば雀同様、このコロナ時代の2年近く、日々の老々散歩の中でその姿を見掛けない日は滅多になかった。人様に対する警戒心など極端に薄く、我が足元近くまでヨチヨチ寄って来ては、餌を探している。その鳩を、人里離れた山などで見掛けないのは、きっと人との共生を選んだからだろう。人間の近くにいれば多分餌が豊富なうえ、天敵が寄って来難いという安全保障まで見込んだからに違いない。

  だがよく分からない。フランスには鳩料理があるようだし、鳩を食べないのは日本だけだと聞いたような気もする。まして四つ足なら机椅子と、飛ぶものなら飛行機以外はすべて食すという中国では、鳩はのこのこ公園をうろついているのだろうか?

  先日老々散歩の帰り道のこと、信号のある横断歩道の反対側に鳩が見えた。信号が青から赤に変わったころ鳩が車道に踏み入ったと見るや、あっという間に轢かれて声もなく骸になっていた。いくら人間との共生を選んだとしても、交通規則まで覚える訳にはゆくまいが、あの光景は今も記憶の底に残ったままである。

  話がえらく脱線したが、鳩ノ巣渓谷を過ぎた所で電車の移動に切り替え、鳩ノ巣駅に向かった。御嶽駅で降りて御岳渓谷の紅葉を見ようと決めたからだった(続)。

20211116日)

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奥多摩の秋(白丸湖) [関東低山紀行]

奥多摩の秋(白丸湖)

 

  冬場は、シルバー系の有難いお仕事が2時間ほど入る日が多いため、遠出が難しいところ、昨日はたまたまフリーの日、奥多摩に紅葉を観に行くべえと早朝の電車に乗ったものの、どこで降りるか迷った。実は、前夜ネットを覗いたら、奥多摩の紅葉は目当ての山上ははや散り始め、山麓に移りつつあるというではないか。あれこれ迷った末に奥多摩の渓谷を歩こうと決め、青梅線を終点の奥多摩駅で降りた。

  奥多摩駅から多摩川上流沿いに古里駅まで「大多摩ウオーキングトレイル」なる遊歩道が西に延びている。車道を小半時歩いた先で多摩川河畔に下り、数馬峡遊歩道を進むと程無く白丸湖遊歩道に至る。白丸湖はダム湖とは言っても、両側を切り立つ山々に挟まれた幅狭い池のような湖だ。鏡のような水面に山が、紅葉が影を落としている。紅葉も黄葉も岸辺を境に上下逆さに繋がっている。幻想的なその景色に、幾度となく足を止めさせられた。

  ここに掲げる写真は白丸湖の景色のほんの一部である。旅はこの後、川の流れに沿って鳩ノ巣渓谷に続くが、それについては改めて報告させてほしい。

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20211116日)

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秋の陣馬山(3) [関東低山紀行]

秋の陣馬山(3

 

  先日登った陣馬山の写真をもう一葉だけ紹介したい。陣馬山は人気の山。ここ頂上の一角には茶店が立ち、付近は登山客で賑わう。写真が捉えたこの一画の空の下、緑の山並みの更にその奥の薄い青色の山脈は奥多摩の山々で、正面に見える双耳峰みたいなのが奥多摩三山の一峰・大岳山、その左手には日本百名山の雲取山の頂きが、ちょっぴりとだけ覗いている。

  ここ頂上は360度の展望に恵まれ、この日は生憎曇り空だったが、もし晴れていれば、ずっと右に日光連山、その先の筑波山が、また、写真が切れた先の左手には南アルプスから富士山、丹沢の山々までが一望のもとである。

  いや、この写真を紹介したかった理由は、実はその抜群の見晴しことではない。写真の右端を注目あれ。北アメリカから渡来した背高泡立草(セイタカアワダチソウ)が頂上のど真ん中に陣取って、天下を睥睨しているではないか。しかも下界では見たこともないほどにどでかい姿。まるで我が国の今の姿を象徴するかのように見えるのだが・・・。

20211111日)

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秋の陣馬山(2) [関東低山紀行]

秋の陣馬山(2

 

  先日陣馬山に登ろうと決めたとき、自らに予め四つのことを言い聞かせた。一つ、途中で苦しくなったら、無理をせず潔く引き返すこと。二つ、富士の姿に遭えずとも、決して落胆しないこと。三つ、紅葉を期待しないこと。そして四つ目は、花枯れの時節ゆえ山野草は無いものと思え。

  さて一つ目、すべての人に追い越され、自尊心を蹂躙されながら喘ぎ苦しんだけれど、それはいつものこと、何とか頂上を越えて縦走できた。二つ目の富士山は、ビユーポイントの明王峠も陣馬頂上いずれからも富士はやっぱり雲隠れしていた。

紅葉は、頂上の樹々が陽を浴びて炎のように燃えていたが、一本の木の幹に巻き付いた蔦漆(ツタウルシ)の3枚の葉にも小さな秋が映えていた。そして山野草は、赤い実もおどろおどろしい蝮草(マグシグサ)と、薄青い花弁を少しだけ開いた竜胆(リンドウ)が心に沁みた。

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陣馬山を越えた後は西に下りて途中からバスに乗り、中央線の藤野駅に着いた。実はこの日、五つ目の目論見があった。それは藤野駅構内で売っている「陣馬の梅漬け」。これを焼酎のお湯割りに入れると、なぜか得も言われぬ味わいなのだ。藤野観光案内所「ふじのね」に踏み入り見渡すと、ありました、その梅漬け。4袋ゲット。

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ところで酒飲みは、卑しいものだ。その昔は仕事でロシア人とよくウオッカを呑んだ。あるロシア人のたまわく、たとえ酒瓶が空になっても、がっかりするな、瓶を逆さにかざせばあと32滴が滴るからと。それを思い出し、先日やってみた。3~4滴のあとはなかなかに遅い。女房の蔑むような視線の中、なお頑張ってみたが、20滴、そこで諦めた。真理を極めることも大事だが、我が人生の時間もあと僅かだから。

2021119日)

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秋の陣馬山(1) [関東低山紀行]

秋の陣馬山(1)

 

  今頃の奥日光や赤城山、榛名湖は錦秋のど真ん中、息を呑むほどに美しいだろうと思いつつ、コスパを思い昨日1か月ぶりの山に選んだのは、東京、神奈川県境に立つ陣馬山(855m)だった。早起きしたため、神奈川県の相模湖駅に降り立った後、登山口の慈眼寺に着いたのは朝のまだ7時過ぎ。振り返って下界を見下ろせば、弘法大師が立つ彼方に石老山が横たわり、手前の相模湖の上に秋霞が一筋棚引いている。

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  登山路は北へ向かう。肺に加え心臓にも欠陥を抱える老廃した身体に登りはきつく、喘ぎ々々休みながら普通2時間20分のところを3時間半かけて、やっと高尾山から続く尾根道にある明王峠(739m)に乗っかり、そこからは比較的平坦な山稜(関東ふれあいのみち)を1時間強、陣馬山まで歩いた。この道はよほど人気が高いのか、いつ歩いても下界のように人通りが絶えない。トレイルランもやたらと多い。山のエチケットでは出遭う人ごとに挨拶を交わす。この日初めて、口が疲れると思った。きっと歳のせいだろう。

  この日もしや紅葉に遭えるのでは、という期待が無かったと言えば嘘になるが、たぶん駄目だろうという諦観の方が強かった。だから行けども登れども、緑ばかりが連なる風景には落胆しないで済んだのだが、しかし頂上が目の前に迫った時、突然現れた炎のような樹々を見て、思わず体が弛緩した。そして思った。東京の秋景色もまた、千両役者だと。

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2021117日)


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裏高尾 初秋の花たち [関東低山紀行]

裏高尾 初秋の花たち


 


  心肺機能脆弱な身が年も老いたうえに年金暮らしと相俟って、遠方の高峰などますます夢のまた夢へと遠ざかるなか、ここんとこ思い切っても東京都内の、奥多摩と高尾近辺の低山を徘徊していた。


  先日歩いた(かげ)信山(のぶやま)から高尾山に至る標高600700mの関東ふれあいの尾根道は、行き交うハイカーの数こそ多けれ、低い高度ゆえに秋も目立たぬ山野草がほとんどである。掲げる写真は順番に、秋の麒麟(きりん)(そう)(さらし)()(しょう)()釣鐘(つりがね)人参(にんじん)(あざみ)、薊を吸う蝶々の浅葱斑(あさぎまだら)、野菊三種(白山(しらやま)(ぎく)(しろ)(よめ)()(ゆう)()(ぎく))。


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これらの名前は、実はスマホのアプリ「レンズ」を使って識別の上、花図鑑を参照したり、ネット検索したりして、ようやく捻りだした結果である。中でも野菊は多種多様、はたして正しい名称にたどり着けたのか、甚だ心許ない。何しろ還暦を迎えるまでは、覚えた花はごく僅かで、桜、梅、菊、タンポポ・・・十指に満たぬほどだった。


  ところで最近つくづく思うのだが、「レンズ」ほど怖いものはない。なにしろ相手が花であれ、虫であれ、生きとし生けるものの正体をたちどころに暴くのだから。もっとも相手から見て怖いのは、スマホをかざして迫り寄る我れの方かもしれないが。


2021108日)


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いま、そこにある危機 [関東低山紀行]

いま、そこにある危機


 


この前の滑落事故による首の痛みもようやく癒え、1か月振りにこわごわと山に入った。高尾駅からのバスを小仏(こぼとけ)で降り、(かげ)信山(のぶやま)727m)に着いたのは朝10時、日の本一の霊山が雲に纏われながらもその頂きを垣間見せてくれた。10か月ぶりの拝謁だった。


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そこからは裏高尾の尾根道に沿い、関東ふれあいの道をひたすら東へと進み、小仏峠で懐かしい3匹の狸像に挨拶したのち小仏城山(670m)に至ると頃は1140分、フジヤマは靄に包まれ朧な姿。東進を続け午後1時半、高尾山頂(599m)に立つ。と、人の数こそいや増すけれど、富士は雲の奥に消えていた。


高尾山からの下りは、谷沿いの六号路。一昨日の雨のため道はぬかるみ、「滑落注意」という標識を見て、一層注意を払いつつ下って行く。谷沿いの道になった。5mほどの崖下を渓流が流れている。前方に似たような年頃の老人一人、何かを撮影していて突然後ずさって足を踏み外し、後ろへ滑落。崖を覗けば灌木の細い幹を握りしめ、辛うじて落下を免れていた。いやあ、ひと月前の自分にそっくりの状況なのだ。幸い水の少ない沢まで僅かの距離だったからよかった。・・・僕の場合は孤独な滑落だったが、今回は人気の高尾山、続々と集まる登山客が声を掛け励まし続けた。  


  前回の奥多摩といい、今度の高尾、いずれも東京の低山だが、老いては決して侮るべからず。ふと、《いま、そこにある危機》という言葉が脳裏に浮かんだ。昔読んだトム・クランシーの小説のタイトルだった。


2021104日)



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九死に一生(日の出山) [関東低山紀行]

九死に一生(日の出山)

 

  この命が、今回ほどにヤバかったことはなかった。この日の山歩きは、4回目の緊急事態宣言下、さすがに越境は躊躇されたので、都内は多摩の日の出山(902m)を目指したのだが、440分発の始発電車に乗り込んだ時、その先にとんでもない危険が潜んでいようとは思いもよらなんだ。

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  JR青梅線の日向和田駅から7時前に歩き始めて、吉野梅郷の先から山道に入り、普通の人なら3時間の所を、ゼイゼイ喘ぎまくって5時間後にやっと日の出山の山頂に着いた。経年劣化し尽くした体は、この時点で既にがたがたである。

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  しかし目論見があった。そこから常人の足で1時間15分ほど下ると「つるつる温泉」がある。そこのアルカリ性の湯に入ればきっと疲れも吹き飛んで、爽やかな気分で武蔵五日市駅行きのバスに乗れるのじゃあなかろうか?てなことを考えながら下り始めたのだが、その下りがいつになくきつくて、足にこたえる。そして、2時間も下ったろうか、ある一歩を踏んだ瞬間、何が起こったのか、突然体が宙に浮き、崖のような所へ落ちて行く。これが最後なのか?一瞬そんな思いが頭をよぎる・・・。気が付けば、垂直に近い山肌を滑り落ちて、小さな枯れ藪のようなものに辛うじて留まっていた。その下は切り立つ山肌が数十メートルも下へ落ちている。

  呼吸を整え、見上げると道の端が見えた。ゆっくりと攀じ登り始める。細い木が立っている。握ってみて、すっぽ抜けないことを確かめてから、身を引き上げる。じりじりと上がり続けて、やっと道に跳び戻った。そして、落ちたと思われる辺りをよく見ると、道を横切る黒いラバーシートが目に留まる。ラバーシートが滑りやすいことは経験上知っていたのに、今回は何故か目に入らなかった。外傷は無いようだが、首から肩にかけて息が詰まるような痛みがある。

  その後、なんとかたどり着いたつるつる温泉では、首まで湯に浸かりつつ、この胸から背にかけての痛みのようなものが和らぐことを願う。九死に一生を得たばかりなのに、はや贅沢なことを望むのだった。 

2021828日)
 


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魔の谷 [関東低山紀行]

魔の谷

 

  ユウスゲの道が通る沼の原を抜けると、そこは「関東ふれあいのみち」の尾根道で、朱い鳥居がある相馬山登山口を経てヤセオネ峠に至る。途中の道端で蓮華升麻(レンゲショウマ)のまん丸い蕾が今にも弾けそうに、風に揺れていた。

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  ヤセオネ峠から少し下った車道に、セミが這い蹲っていた。黒い背中の上に黄色いW字の斑紋。こんなセミは見たことがない。こいつもまた短い命を燃やし尽くして、これ以上動くのもままならない様子である。残された時間はあと僅か。しかし雌伏数年を経てようやく世に出た末に車に轢かれては、あんまりだ。両脇を指でつまむとジージーと抗うが、道路脇の草叢に置いてやると、のろのろと這い始めた(あとでネットで調べたら、小蝦夷セミというらしい。もともと樺太辺りから渡来した北方系のセミで、本州では標高1,000m程の山地に棲むという)。

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  車道を離れて登山道に踏み入り、相馬山の山麓をオンマ谷へと下りた。オンマ谷は榛名カルデラ火山の爆裂口があった所だから、御魔谷、つまり「魔の谷」と名付けられたとか。

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  谷は灌木が生い茂り、昼なお暗い。台風9号の影響で風が強く、木の葉がざわざわと鳴る上に、全山挙げての蝉しぐれ。ために、いつもは高く響く熊鈴の音は搔き消されて全く用を成さなかった。うす暗い中、背丈の高さに咲く白い花は猪独活(シシウド)。大きな葉っぱの間からぬっくとそそり立つ鎌首は、蝮草(マムシグサ)の包茎が剥けかけた鮮やかな緑の果実であった。

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  谷底を突っ切って、やがて登り返すと長い尾根道が伊香保の町へ下りて行く。風の中、ざわめく灌木と蝉しぐれがいよいよ喧しい。突然視界が開けると、そこは「つつじヶ丘」という展望所。青空の下に赤城山の稜線が走り、直ぐ上に夏雲が棚引いていた。

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  道はなおも続く。最後につづら折りの長~い階段をいくたびも曲がり下って、ようやく伊香保神社に着いた頃には、足が悲鳴を上げていた。しかしバス停は、今朝見上げたあの石段を365段下りた所だ。両手でバランスを取りながら、転ばぬよう一歩ずつ下りて行ったが、日帰り温泉『石段の湯』の前で足が止まった。昨年10月、榛名湖の紅葉狩りの時もオンマ谷を越えて、ここへ寄っている。400円払って湯に浸かる。と、足の痛みが徐々に消えてゆく感じ。ああ、ユウスゲは残念だったが、はるばる来て良かったなあ、と悦に入る我だったが・・・。

2021810日)

 

【追記】翌日から酷い筋肉痛に襲われる。12日の今日も、座ったり立ち上がる動作が必要な都度、自らを声で励まさないとうまくいかない。げに、過ぎたるはなお及ばざるが如し。


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