奥多摩の秋(御岳・大塚山) [関東低山紀行]
奥多摩の秋(御岳・大塚山)
御岳渓谷の紅葉を観るつもりで鳩ノ巣駅から電車に乗ると、隣の男女が紅葉がどうのこうのと喋る中、年寄りの男の方が「御岳渓谷は紅葉には早過ぎたなあ」と言うのが耳に入った。
んで急遽方針変更。御嶽駅で降りるは降りたが、御岳渓谷には向かわず、バスから御岳山ケーブルに乗り継いで、御岳山頂上駅(831m)で降りた。時はすでに午後1時を回っているため、ほとんどの乗客が向かう御岳山(武蔵御嶽神社)とは逆方向の大塚山(920m)に向かう。山上は確かに紅葉が終わりつつあるが、所々はなお、黄色と紅が入り混じって陽と戯れている。
人っ子一人いない大塚山に着いたのが既に2時近かったため、休む間もなく丹三郎尾根を下り始めた。その辺りは小紫陽花(コアジサイ)の群生地帯で、薄暗い針葉樹林の間に小さな黄葉が点々と連なっていた。そんな中、佇立する毒々しい赤い実の房が目についた。実も茎も根もすべてが毒草の蝮草(マムシグサ)だ。だらりと垂れた大きな葉っぱを一丁前に黄色く染めていた(この写真の後に、比較のため、9日前に陣馬山で出遭った蝮草を再掲します)。
丹三郎尾根は緩やかな下りだけにどこまでも延々と続くようで、ただでさえ足が遅い我れ、古里駅にたどり着いたのは午後4時もまわる頃だった。この日は卑しい根性をさらけ出し、渓谷と山の選択に惑った挙句、どうも中途半端な旅にしてしまったようだ。これまでの半生、考えてみればいつもそんなだった気がするが、ま、それもいいか、惑うことこそ人生ならば。
(2021年11月17日)
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