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真昼の宴 [巷のいのち]

真昼の宴

 

 コロナが漸く下火になって、何年振りかで同期会だの何やら懇親会が再開され始め、漸く座敷牢から抜け出す機会がぼちぼち増えてきたが、寄り合う者等しく年老いたせいか、コロナ前は夜会だったものがいつの間にか昼の集いに置き換わっていた。昨日の真っ昼間、荻窪のイタリア料理店ラ・ヴォーリアマッタに集まった4人は昔々一つの課で、共産圏向け鋼管(スチール・パイプ)の輸出に特化していた仲間だった。それはしかし半世紀も前の若い頃、今じゃいずれも7080歳代のお爺ちゃん。

 彼らのある者は冷戦時代のウイーンに家族を置いて、平日はポーランドやハンガリー等の東欧諸国の顧客を駆け巡り、ある者はモスクワに駐在して、ソ連全体の鉄鋼製品の輸出入を独占する国家機関に日参、あるいは日本から遠路出張して来たメーカーと組んで極北のシベリアや、ウズベキスタン等の中央アジアの石油・ガス田をへ巡った。すべてはしかしはるか前世紀の、今は昔の出来事。甘い赤ワインの香りに一瞬往時へ想い馳せても、口に出す者はいない。

 別れ際に誰が言ったか、一年後にまたやりましょう!・・・鬼が笑うか、と言いそうになって、出たのは、いいねえ、やりましょう!

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 一人になったとき中天に日はなお高かったので、井の頭公園で気になっていた「ちいさい秋みつけた」を作曲した中田喜直の記念碑を探しに行った。公園に入りざっと見渡すと、ちいさい秋のハゼノキは見当たらなかったが、早くもモミジが紅く染まっていた。二つ目の橋を渡って直ぐ右手に黒いピアノ型の碑を見つけた。「ちいさい秋みつけた」の投稿を見た知人が、ここにこんな記念碑があるよと教えてくれたのがちょうど1年前。以来気に懸かっていた碑に漸くめぐり合えたのだ。

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 この日、井の頭公園のそこかしこで宙に舞う小さな白い虫を見た。雪虫だ。東京でこんなに沢山の雪虫を見たのは初めてのこと。間もなく東京にも雪が降るのだろうか?

20231129日)


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ぬい女物語(その2) [読後感想文]

ぬい女物語(その2)

 

 『下々の女(江夏美好)』もそうだったが、この『ぬい女物語(小鷹ふさ』も随所で飛騨の方言に出遭う。山だらけの飛騨は方言もばらばら、まして世代を隔てる古い方言は見慣れぬものも多い中、忘却の彼方から浮かび上がるものもある。何十年も忘れていたのは、例えば「へんび」(蛇)、例えば「どんびき」(蛙)、それらは物心がついて初めて聞いたり、喋った言葉だった。「いかいこと茄子(なすび)を作って天秤棒で担って売りに出た」とあった。「いかいこと」は沢山という意味だった。調べてみると意味はその通りでも、静岡弁と注釈が付いている。けど、飛騨でも昔はそう言っていたのだ。

 こんな文章に出遭った、「夫に一文の収入もない農家の嫁にとって、石けん、手拭いは有難い戴き物であった」。何ともない、普通の文章、なのに突然、長い間忘れ果てていた祖父を思い出した。僕が生まれた時60歳を越えていた祖父は、来る日も来る日も農作業に精を出していたが、それは家族に食わせる物を作っていたからで、収入はゼロだった(現金収入は、ひとえに父に対する特定郵便局からの給与に頼っていた)。ひょっとして、祖父には財布も無かったのか?一瞬胸に浮かんだ疑問を、しかし今更詮無いことをと呑み込んだ。

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 先日は1125日の土曜、ちいさい秋が気に懸かりまたぞろ後楽園の礫川(れきせん)公園を覗くと、サトウハチローが文京区弥生に住んでいた頃は小さかったハゼノキが、すっかりでっかい姿になって、まるごと紅色に燃えていた。秋はもう直ぐど真ん中!

20231128日)


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飛騨のかたりべ ぬい女物語 [読後感想文]

飛騨のかたりべ ぬい女物語

 

 生まれたのが山深い飛騨地方でも、同じ飛騨の人が書いたものに触れる機会は皆無だった。それがふとしたきっかけで『下々(げげ)の女』(江夏美好)に廻り合い、泥臭さに心を掴まれたのが喜寿の齢。そしてその2年後にドイツ文学者の弟に紹介されたのが、この『ぬい女物語』(小鷹(おだか)ふさ)である。両者にはなぜか共通点が多い。著者はいずれも我が母と同じ大正生まれの女性で、出版されたのが今からは52年前の同じ昭和46年(1971年)。『下々の女』の主人公ちなのモデルも、今度の語り部ぬいもまた著者身内の年上の女性(ちなのモデルは著者の実の母、一方ぬいは著者ふさが嫁いだ先の義祖母)。

 物語の最初の方で、益田という懐かしい地名に出遭った,「ぬいは高山へ、分水嶺〈宮峠〉から南の益田から嫁入りして来た」。僕が生まれたのが飛騨の益田郡、益田郡はしかしその後の市町村合併で下呂市に編入され今に至る。ぬいは、僕と同じ益田郡だったのだ。

 著者ふさは1912年生まれだから僕の母より8歳年上、なのに文中時々心掴まれるほど新鮮な表現に出遭った。例えば、「季節を食べるとでもいうか、春は鱒寿司、夏は茄子のいぎ焼、秋はしめじののっぺ汁、冬は塩鮭の漬け鮨を大変喜んだ。すべて酒好きの亡夫の思い出を食べているように思われるのであった」。昔子供の頃は貧しくて、鱒も何も無かったが、それでも何かこう専ら季節を食べていた(季節しか食う物が無かった)ことを思い出す。思い出を食べる、という表現も、少なくとも僕にとっては初めてのことだった。

 飛騨を舞台の二つの作品が決定的に違うのは、その形式である。『下々の女』が重厚な小説なら、この『ぬい女物語』はぬいが語る軽妙な実話と昔話。両者に通底するのは、山国に生きた女性たちの苦難、哀しさ、愛しさ、喜びが溶け合った飛騨の味噌汁の味わいに違いない。

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20231127日)


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馬渕睦夫の陰謀論 [読後感想文]

馬渕睦夫の陰謀論

 

 陰謀論者・馬渕睦夫の本にまた手を出してしまった。書名は『世界を操る支配者の正体』。つい半年前までこんな著者は名前さえ知らなかったのに、これが何と5冊目である。しかもこれまでの4冊は比較的最近書かれた本だったが、今度のは9年も前(201410月)に出た本で、その間世界の政治情勢が激変しているにも拘らず、彼の陰謀論には些かのブレもない。

 僕自身がロシアとウクライナの確執に目を奪われたのは去年の2月、ロシアが国境を越えてウクライナに雪崩れ込んだ時だった。ところがこの本は語る、9年前にロシアがクリミヤ半島を併合し、更にロシアと国境を接する東部で親露グループとの内部紛争が始まった時点で、これは世界の歴史上由々しき問題に発展するだろうことを。何故ならこれらすべてはロシアとウクライナ2国間の問題ではなく、アメリカ政府を裏で操るディープ・ステート(国際金融資本家が牛耳る闇の政府)がプーチンのロシアを崩壊させ、もって世界を制覇しようとの目論見に端を発するもので、ロシアが戦っている真の相手はウクライナのゼレンスキーではなく、ディープ・ステートのネオコンだからと言う。かって地政学の草分けとして世界的に有名なマッキンダーと言う人が言ったらしい、「東欧を支配するものがハートランド(ロシア、ウクライナ)を制し、ハートランドを支配するものがユーラシアひいては世界を制する」と。

 著者のプーチンへの肩入れには、尋常ならざる雰囲気がある。今世紀の世界に展開されているのは、ナショナリズムを旨とするロシアと、世界の単一市場化(グローバリズム)を狙うネオコンとの壮絶な戦いであるが、著者は、個々の国、個々の民族がそれぞれの個性を生かしながらも共存を図るナショナリズムこそ、あるべき世界の姿ではないかと主張している。

 そんな風にプーチン一人を立てるのが不思議だった。これまで読んだ4冊では、プーチンとトランプの二人に肩入れしていたからだ。トランプこそアメリカ・ファーストのナショナリストである。やがて思い至った、本が書かれたのは2014年、トランプの登場は2016年の大統領選、まだ名前さえ世に知られない頃だったのだ。

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20231123日)


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続・兵(つわもの)どもが夢の果て [忘れ得ぬ人々]

続・(つわもの)どもが夢の果て

 

 商社同期会の明くる日、今度も真昼に『特殊管輸出懇親会』なる宴に臨んだ。その昔(と言っても明治の代から大正、昭和、平成まで)住友金属工業(通称・住金)なる会社が世に有った。鋼鉄製鋼管(パイプ)の製造では世界トップクラスのメーカーだったが、新日本製鐵との合併を経て現在の社名は日本製鉄。懇親会はその住金の前世紀に、化学プラント等に使用される高級な特殊鋼管を世界に向け拡販努力した同社の営業関係者と、苦労を共にした住友商事(住商)OB/OGが年に一度再会、古い記憶を確かめ合うためのもの。但しこの会もコロナの邪魔が入ったため、4年ぶりの開催だった。

 住友御三家のひとつ住金に比べ、住商の歴史は浅い。それは住友家に古来「浮利は追わぬ」の家訓があったためである。それが、終戦後復員等で外地から住友のもと社員が続々と帰国、彼らの糊口を凌がせる窮余の策として、ついに商いに手を染めることになったのだった。

 この日、出会いの場所は茅場町のイタリア料理店カルバッチョ。人数も多いので立食形式となった。懐かしい顔が多い中でも、モスクワ駐在時代に迎えたり、一緒に彼の地へ出張した老兵たちを見掛けると、ついワイン・グラスを交わしていた(せめて日の高いうちは嗜むまい、というのがなけなしの哲学だったのに)。

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 その翌日は一昨日の1119日、ちいさい秋の具合が気に懸かり、またぞろ六義園を訪れると、(はぜ)の木の紅葉は着実に進んでいた。モミジなど大方の樹が少し色付き始めている中、ハゼノキばかりが紅に燃えていた。独壇場は、なお暫く続きそうである。

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20231121日)


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兵(つわもの)どもが夢の果て [忘れ得ぬ人々]

(つわもの)どもが夢の果て

 

 1967年といえば今からは半世紀以上も昔、当時は斜陽産業に数えられていたのを知ってか知らずか、一つ商社に草鞋を脱いだ新入社員が年を経て散り散りばらばらになった挙句、てんでに会社を辞めた頃、「67会」なる同期会が年に一度催されるようになったのはいつだったか、それすら曖昧模糊の霧の中。コロナ上陸以来沙汰止みのこの会が、先日の1117日の真昼どき、新宿の三角ビル47階にある東京住友クラブで開催されたが、1967年入社組140名に対し集まったのは僅か14名。商社の人間は佳人でもないのに何故か薄命。それにしても数年ぶりの顔合わせなのに集まったのがこれだけ少ないとは、予想外のことだった。

 かっては立食スタイルだったのが今年は着席で、先ずは今年の物故者に黙禱を捧げる。次いで一人ひとりの近況報告を聴きながらビールかワインで喉を潤しつつ、肴をつまむ。この齢でなお大学で英語を教えていると威張る者あれば、腹を切った回数を誇る者もいて、どうやらこの14人は多かれ少なかれ独善的か、楽天的な傾向が強いようである。一年後の再会については請け合うのもいれば、怯む者もあり、ひと様々であった。

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 67会の終了後、新宿西口界隈の雀荘に向かう4人は、明日知れぬ命とも知らぬ、懲りない面々。牌を自模るたびに一喜一憂しながら、ポン、チー、ロンと喧しいが、不思議なのは、老け顔がいつの間にか入社新人時代の溌溂とした顔つきに見えることだった(あの頃の兵ども、夢見る顔に)。

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20231119日)


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後楽園のちいさな秋 [巷のいのち]

後楽園のちいさな秋

 

 一昨日後楽園へちいさな秋を探しに行った。地下鉄の後楽園駅を上がるとすぐ左の礫川公園(れきせんこうえん)に、今からは68年前サトウハチローに童謡『ちいさい秋みつけた』を作詞させたハゼノキが移植されている。往時は小さかったハゼノキも、70年も経ってはさすがにでかい。紅葉の具合如何かと覗き見ると、「童謡『ちいさい秋みつけた』とはぜの木」の看板の奥に垂れ下がる枝葉の2割ほどが赤みを帯びていた。

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 礫川公園から後楽園ドームをぐるりと廻って、反対側の小石川後楽園の門を潜り、ここにもあるはずの(はぜ)を探す。池辺のその木は大きいが、葉っぱは緑るいままである。櫨の葉は、他に先駆け染まりかけても、その後の歩みは実にのろく、やがて追いつく錦秋に紛れ込んでゆく。小川の畔にひともとの若いハゼノキ。こっちはもう紅に燃えていた。見つけたのだ、ちいさい秋を。

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 昨日投稿した『日本を危機に陥れる黒幕の正体』の感想文に付け加えたいことがある。対談者の馬渕睦夫(もとウクライナ大使)と松田 学(参政党、もと大蔵官僚)が異口同音、国を憂えて言うには:

 「ネオコンは米国の政治を牛耳るばかりか、ずっと前からマスコミを通じて日本の世論に働き掛け、日本が再起せぬよう手練手管を尽くしている。例えば、韓国に反日教育を植え込んだのも米国であれば、日本政府の中枢たる大蔵省の弱体化を図り、日本のマスコミを誘導して「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」で大蔵省を叩き、ついには2001年に財務省と金融庁に分割させた背景にもネオコンの意図が働いていた模様。また、食料の自給こそ1国の独立にとって最も肝要で、他の主要国に100%の自給率が多い中、日本は僅か28%。これは、日本を自立させないという終戦以来の米国の対日政策が背景にある」。

 

 いやあ、いくら何でもという話しばかりで、ただ恐れ入るばかり。ただ、もし本当だったら大変だ、とも思う。人生既にたそがれ果ててはいるけれど、今からでも老眼擦り、耳の穴かっぽじって見聞きしようか、無理かなあ?

20231111日)


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日本を蝕む闇の政府 [読後感想文]

日本を蝕む闇の政府

 

 馬渕睦夫(元外交官)と松田 学(参政党議員)の対談集『日本を危機に陥れる黒幕の正体』を読んだ。馬渕の著作・対談集に初めて触れたのがつい4カ月前だったのに、もう4冊も読んだことになる。この人は、ある人々から陰謀論者と揶揄されるように、俄かには信じ難いようなこと(あの戦争でウクライナはとっくにロシアに負けている、とか、米国の政治は百年前から闇の政府に牛耳られている云々)ばかり語るのに、今なぜ読み漁るのか我ながら妙に思う。もし本当だったら大変だと、誰かに囁かれているのかもしれない。以下に、対談の一部を抜粋するが、憐れ我れ、正否の判断能力に自信がない:

【ネオコンとは何か】

Neoconservatism(新保守主義)の名称からは及びもつかないが、百年以上前の米国ウオール街や英国シティーの金融業者が中心となって、世界をグローバルな単一市場に統一して支配しようとする国際干渉主義。ネオコンは、もともとはロシアで起こったトロッキーによる世界共産化革命に端を発す(当時のロシア革命家の大半はユダヤ系)。

ネオコンは米国政府高官(特に国務省)に同調者を多く擁し、ディープ・ステート(闇の政府)として国際政治に甚大な影響を齎した。共和党のブッシュ父子時代の湾岸戦争、アフガン戦争、イラク戦争を起こしたのはネオコン。その後政権が民主党になってからクリントン、オバマ、バイデンは全てネオコン政権である。 

【ネオコンの敵はナショナリスト】

ネオコンの敵は、民族主義国家を旨とするトランプであり、プーチン。いずれもネオコンの存在を意識、トランプは「アメリカ ファースト」の標語の下、各国がそれぞれ自国優先主義を貫くことがひいては世界に平和を齎すとの考え方。ウクライナでプーチンが戦っている本当の相手はゼレンスキーではなくネオコンである。

【米国のメディアはネオコンの手先】

米国は百年前の第28代ウイルソン大統領時代以降、厳密な意味での民主主義国家ではない。多くのメディアがネオコンの支配下にあるため、国民はマスコミを通じて洗脳されて来た。

【歴史認識修正の兆し】

そんな中、しかし4年前の20199月に、メディアに毒されていた歴史認識に漸く風穴が開いた。EUの議会により「欧州の未来に向けた重要な欧州の記憶」が議決されたが、そこに於いて初めて、第2次世界大戦の原因が独ソ不可侵条約及び秘密議定書(独ソによるポーランド分割)にあることが確認されたからである。

 

 これまでの80年近くを、特に大人になってからの60年の大半は、何となくマス・メディアの情報の只中で生きて来た。まして日暮れてからは酩酊の世界。今更どうなるものでもあるまいが、探し続けてみようと思う、一体どんな世界に生まれて来たのかを。たった一回ぽっきりの、これがかけがえもない人生であるならば。

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20231110日)


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一期一会 [読後感想文]

一期一会


 としが歳だから、3年半前に75歳で最後の職場を首になってからは年金生活を旨に生きている。人間以外の、生きとし生けるものは死ぬまで働くなどと(うそぶ)いて、ハローワークを訪ねたこともあったが、一度限りで諦めた。紹介してくれる人があったため、小菅の東京拘置所にパートで通ったこともあったが、そこも1年で首になった。目下係わりがあるのはシルバー人材センター斡旋の高齢者向けパート作業。近所の小学校が休日に校庭を一般に開放するが、その監視人を仰せつかって3年目。その他には学童が小学校から帰宅する際の付き添いパトロール、これは但し暮れるのが早い冬場限定の稼業。


 さて、『日本よ、(れっき)とした独立国になれ!』はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の関係に少なからぬ紙数を割いているが、我自身GHQについては漠然としたイメージ以外具体的なことは何一つ知らなかったので、意外な事実に驚いた。特に印象深かった点は:


GHQの洗脳活動】 この本で、GHQが日本に駐留した68カ月にわたり日本人洗脳活動に(いそ)しんでいたことを初めて知った。NHK、朝日等大手メディアを取り込んで、悪いのは軍と政府の上層部というキャンペーンを大々的に展開。大東亜戦争という呼称を禁止するとともに、GHQ自らが作成した歴史教科書「太平洋戦争史」を押し付けた。NHKビルの2フロア―をGHQが占拠、NHKをして「真相はかうだ」という連続ラジオ放送を流させた。著者は言う、その頃のメディアはGHQの共犯者だったと。


GHQの残滓】 GHQ指導の下に生まれた組織がいくつかあって、代表的なのが日教組、日本学術会議、日本弁護士連合会。いずれの組織も多かれ少なかれ、GHQの呪縛から未だに開放されておらず、例えば日本学術会議は今でも「戦争を目的とする科学研究は絶対に行わない」という声明を繰り返している。


GHQの経費】: GHQは日本駐留中、東京裁判を通じて日本の戦犯を裁くとともに、すべての日本人の徹底的な洗脳工作に携わった(著者曰く、その結果、戦後29年目にフイリピン・ルパング島から帰還した小野田寛郎ひろおもと少尉以外の、ほとんどの日本人が洗脳の洗礼を受けた)。GHQ87,000人の米軍兵士と文官3,500人を擁し、雇用した日本人は数十万人。これに係る全経費が日本持ちと知って驚いたが、その規模が当時の国家予算の三分の一と聞いて腰を抜かした。何のことはない、敗戦国日本は、なけなしの税金を己れ自身の洗脳のために使わされていたのだ。


 


 冒頭で触れた校庭解放の監視人稼業は老人二人の交代制なので、僕自身は年間の日曜祭日の約半分を校庭で過ごしている。今年の春3月~4月に学校裏で一匹の猫と視線が合った。褐色の大きな猫で、目付きがやたら鋭いが、それだけに存在感があった。その後は、しかし姿を消し、暑い夏が過ぎ、秋になり、校庭に来る都度、視線を巡らすのだが、姿を見せない。モスクワの猫と別れたのは、はるか昔。浮気するのも憚れたし、逆縁になってはいけないと新しい縁結びを避けるうち、いつか26年が過ぎていた。まっ、いいか、どうせ人生は一期一会。


 


2023117日)


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2023117日)


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ちいさい秋みつけた(アメリカの根源的大罪その2) [巷のいのち]

ちいさい秋みつけた(アメリカの根源的大罪その2)

 一昨日久し振りに六義園(徳川時代江戸2大庭園の一つ)の門を潜ったのは、ちいさい秋が気になったからである。中学の同級生が僕がフェイスブックに投稿したハゼノキの紅葉の写真を見て、コメントで教えてくれた、童謡「ちいさい秋みつけた」の秋がハゼノキの紅葉であることを。その彼が異界へ旅立った3年前の頃から、秋になると(はぜ)の木のことが気に懸かるようになった。

 六義園のハゼノキはざっと十数本、都内の庭園では恐らく最も多いのではないか。一月前に来たときは、そのうちの1本だけ、それも一枝か二枝の僅か二、三葉に紅が差し始めていたのだが、この日はハゼノキ全体の6~7割に秋が進んでいた。

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 先日読んだ『日本よ、(れっき)とした独立国になれ!』には本当に驚かされた。大事なことの筈なのに、我が知識から抜け落ちていたことが続出。例えば、

米英の誤算: 米国政府はそもそも戦う相手を間違えた。ルーズベルトはなぜか共産主義国家に親近感を寄せ、ソ連と組んで日独を攻めたのみならず、中国では毛沢東の中共軍とも通じて、戦後は蒋介石の国府軍を蔑ろにしたため、国共内戦結果、中華民国は台湾に閉じ込められ、本土が人民共和国に支配され今に至る。

日米開戦: 遠い欧州の第1次世界大戦で40万人ものアメリカ兵を失ったアメリカには、再びの第2次大戦には参戦すべきでないという強い世論があったにも拘らず、日本による真珠湾攻撃を受けると一転、リメンバー・パールハーバーとなった。だが真珠湾の12日前に、米国政府が最後通牒(ハル・ノート)を日本に突き付けていたことは議会にも国民にも秘匿されていた。ルーズベルト政府は国民を欺いて日米戦争を産み、ひいては欧州の戦争に参戦したのだった。

大統領の評価: 本書が、ヒトラーのドイツをしてポーランド侵攻に導き、かつ日米戦争を仕組んだ根源的大罪人として断罪するフランクリン・ルーズベルトは、しかしアメリカの歴代大統領の人気投票では未だに、ワシントン、リンカーンと共にトップ・スリーを占めるという。世評は、げに不思議なものだ。

 一昨日の六義園は初めて見る風景だった。そこかしこに見える紅葉は例外なくハゼノキだ。公園全体が秋に燃えるのは半月以上も先のこと、それまでは「ちいさい秋」のひとり舞台。

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2023116日)


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