兵(つわもの)どもが夢の果て [忘れ得ぬ人々]
兵どもが夢の果て
1967年といえば今からは半世紀以上も昔、当時は斜陽産業に数えられていたのを知ってか知らずか、一つ商社に草鞋を脱いだ新入社員が年を経て散り散りばらばらになった挙句、てんでに会社を辞めた頃、「67会」なる同期会が年に一度催されるようになったのはいつだったか、それすら曖昧模糊の霧の中。コロナ上陸以来沙汰止みのこの会が、先日の11月17日の真昼どき、新宿の三角ビル47階にある東京住友クラブで開催されたが、1967年入社組140名に対し集まったのは僅か14名。商社の人間は佳人でもないのに何故か薄命。それにしても数年ぶりの顔合わせなのに集まったのがこれだけ少ないとは、予想外のことだった。
かっては立食スタイルだったのが今年は着席で、先ずは今年の物故者に黙禱を捧げる。次いで一人ひとりの近況報告を聴きながらビールかワインで喉を潤しつつ、肴をつまむ。この齢でなお大学で英語を教えていると威張る者あれば、腹を切った回数を誇る者もいて、どうやらこの14人は多かれ少なかれ独善的か、楽天的な傾向が強いようである。一年後の再会については請け合うのもいれば、怯む者もあり、ひと様々であった。
67会の終了後、新宿西口界隈の雀荘に向かう4人は、明日知れぬ命とも知らぬ、懲りない面々。牌を自模るたびに一喜一憂しながら、ポン、チー、ロンと喧しいが、不思議なのは、老け顔がいつの間にか入社新人時代の溌溂とした顔つきに見えることだった(あの頃の兵ども、夢見る顔に)。
(2023年11月19日)