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馬渕睦夫の陰謀論 [読後感想文]

馬渕睦夫の陰謀論

 

 陰謀論者・馬渕睦夫の本にまた手を出してしまった。書名は『世界を操る支配者の正体』。つい半年前までこんな著者は名前さえ知らなかったのに、これが何と5冊目である。しかもこれまでの4冊は比較的最近書かれた本だったが、今度のは9年も前(201410月)に出た本で、その間世界の政治情勢が激変しているにも拘らず、彼の陰謀論には些かのブレもない。

 僕自身がロシアとウクライナの確執に目を奪われたのは去年の2月、ロシアが国境を越えてウクライナに雪崩れ込んだ時だった。ところがこの本は語る、9年前にロシアがクリミヤ半島を併合し、更にロシアと国境を接する東部で親露グループとの内部紛争が始まった時点で、これは世界の歴史上由々しき問題に発展するだろうことを。何故ならこれらすべてはロシアとウクライナ2国間の問題ではなく、アメリカ政府を裏で操るディープ・ステート(国際金融資本家が牛耳る闇の政府)がプーチンのロシアを崩壊させ、もって世界を制覇しようとの目論見に端を発するもので、ロシアが戦っている真の相手はウクライナのゼレンスキーではなく、ディープ・ステートのネオコンだからと言う。かって地政学の草分けとして世界的に有名なマッキンダーと言う人が言ったらしい、「東欧を支配するものがハートランド(ロシア、ウクライナ)を制し、ハートランドを支配するものがユーラシアひいては世界を制する」と。

 著者のプーチンへの肩入れには、尋常ならざる雰囲気がある。今世紀の世界に展開されているのは、ナショナリズムを旨とするロシアと、世界の単一市場化(グローバリズム)を狙うネオコンとの壮絶な戦いであるが、著者は、個々の国、個々の民族がそれぞれの個性を生かしながらも共存を図るナショナリズムこそ、あるべき世界の姿ではないかと主張している。

 そんな風にプーチン一人を立てるのが不思議だった。これまで読んだ4冊では、プーチンとトランプの二人に肩入れしていたからだ。トランプこそアメリカ・ファーストのナショナリストである。やがて思い至った、本が書かれたのは2014年、トランプの登場は2016年の大統領選、まだ名前さえ世に知られない頃だったのだ。

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20231123日)


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