裏高尾 初秋の花たち [関東低山紀行]
裏高尾 初秋の花たち
心肺機能脆弱な身が年も老いたうえに年金暮らしと相俟って、遠方の高峰などますます夢のまた夢へと遠ざかるなか、ここんとこ思い切っても東京都内の、奥多摩と高尾近辺の低山を徘徊していた。
先日歩いた景信山から高尾山に至る標高600~700mの関東ふれあいの尾根道は、行き交うハイカーの数こそ多けれ、低い高度ゆえに秋も目立たぬ山野草がほとんどである。掲げる写真は順番に、秋の麒麟草、晒菜升麻、釣鐘人参、薊、薊を吸う蝶々の浅葱斑、野菊三種(白山菊、白嫁菜、柚香菊)。
これらの名前は、実はスマホのアプリ「レンズ」を使って識別の上、花図鑑を参照したり、ネット検索したりして、ようやく捻りだした結果である。中でも野菊は多種多様、はたして正しい名称にたどり着けたのか、甚だ心許ない。何しろ還暦を迎えるまでは、覚えた花はごく僅かで、桜、梅、菊、タンポポ・・・十指に満たぬほどだった。
ところで最近つくづく思うのだが、「レンズ」ほど怖いものはない。なにしろ相手が花であれ、虫であれ、生きとし生けるものの正体をたちどころに暴くのだから。もっとも、撮られる相手から見て怖いのは、スマホをかざして迫り寄る我れの方かもしれないが。
(2021年10月8日)
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