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決斗高田馬場(2024年春) [忘れ得ぬ人々]

決斗高田馬場(2024年春)

 

 昨43日春爛漫の昼下がり高田馬場は雀荘OZの雀卓を囲む4人は、57年前同じ商社に入社した同期の桜、いずれも傘寿を越えたか越えぬかの、若者から見れば妖怪の類い。このメンバーで腕を競うのは去年の3月以来4度目、かってはタイ、トルコ、中国、ロシア等世界に雄飛したつわものも、或る者は何度も腹にメスを入れ、また或る者は心臓を取り出す手術を経て今に至る。

 我自身若い頃麻雀に夢中だった時期は、ある。商社新入社員時代の日曜日に独身寮で寝ていたら、管理人の館内放送で目が覚めた、「皆さんお早うございます。今日はいい天気、雀がピイチクパアチク鳴いてます。絶好の日和です」。それは、麻雀室が寂しがっているので如何かという誘いの声であり、同時にまた、メンバーが足りない場合は喜んで自分が入りますという意味を言外に含む声でもあった(管理人は、思えば変わった人で、自己紹介の時、梅毒か淋病かに罹ったことがあることを誇らしげに語る癖があった)。

 麻雀からすっかり足を洗ったのは40代、なのに2020年が明けた頃、同期入社で(くだん)の寮の同宿者から、久し振りに雀卓を囲もうと誘いがあると、あれよあれよという間に場が成立、同期4人が高田馬場のOZに集まった。友にまみえるのも久し振り、まして麻雀牌に触るのは約30数年振りのことだった。

 さて昨日で今世紀牌に触るのが5度目の我れ、記憶装置も老化して、今誰が親で誰が子か、敵方の教えを乞いながら必死に勝負について行く。しかし面白い。数時間はあっという間のことだった。

 戦い終えて日が暮れて、この4人またぞろ同じビルの『へぎそば昆』に席を占めた。新潟は長岡名物のあぶらげ等をつつき酒を舐めながら、互いの生き様をそれとなく確かめる。驚いたことに他の3人は今も車の運転を続けており、最近の車は安全運転機能が抜群だと(うそぶ)いていた。頼むからやめてくれと子供に迫られて、5年前に免許返上したのは我一人だった。

 そしてほろ酔い気分の中、次の決斗は7月だな、とまあ勇ましげに別れた4人であった。

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202444日)


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