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イブの庭 [巷のいのち]

イブの庭

 

 母逝って一年後の命日の日、弟から電話があって、飛騨に住む従弟(叔父の息子)の病いが悪化、危険な状態と知らされた翌日には、ふる里からの訃報が届いた。僕よりひとまわり若く、最後に見た母の葬儀の時はとても元気そうだったので、未だに信じられない思いである。懐かしい人が一人また一人と別の世界に旅立って行く。地球の人口が80億人に満ちるというのに、僕の内なる世界はまるで晩秋の景色だ。

 それでも今日はクリスマスイブ。アパートの庭では桜も欅も朽ちた葉をすっかり失い、ひとり満天星躑躅(どうだんつつじ)ばかりが紅に輝く中、ささやかなイリュミネーションが飾られ、陽が落ちるとサンタが橇に乗って降りて来た。

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 帰宅学童のパトロール稼業も3年目の冬に入って、70歳もの年齢の差に怯む気持ちが薄らいだのか、最近では小学新入生ともまともに口が利けるようになった気がする。パトロールが目的だから出来るだけ口を噤むようにはしているが、話しかけられたら自然体で応えるようになった。新入生の中にクイズとナゾナゾが好きな子がいて、他の学童がいないときはこんなジジイにも挑んでくる、「クイズとナゾナゾ、どっちにする?」。どっちを選んでも、年を経て硬化した頭には解けないものばかり。先日などは我がレベルを慮ったのか、別れる間際の最後のクイズは、「トイレでするものな~あに?」。声を潜め、ウ〇〇と答えると、「セイカ~イ!」、びっくりするほど元気な声だった。

 友よ、一つの世界が冬枯れるその先に真新しい世界を垣間見た、そんな気がした晩だった。

 

20221224日)


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