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竹馬の友 [忘れ得ぬ人々]

竹馬の友

 

 818日、その日は昨年末旅立った母の、月命日だった。着信音に気付きスマホを開くと珍しい人の名が目に入った。「ハンメさん?」と、遠い昔の綽名で呼びかけるのは、沖縄に住む洋久君の声。「あんなあ、叔母さんが亡うなったこと全く知らなんだわ。誰も教えてくれんもんで、えらい失礼をしてまった」と言って絶句したあと、子供の頃母にはよく世話になったことや、母が作った味噌汁の味が忘れられなんだ、といったことを縷々語る。僕の方からは、長引くパンデマイムのため遠方の人には敢えて声を掛けなかった事情を説明しながら、それでも102歳は大往生だったと伝えた。

 彼はいとこである。いとこ20人の中、彼は同じ村で家も近く、おまけに同い年だから、小学校から高校までずっと同級生だった。互いの家に遊びに行って泊ったことも度々、また農作業の親戚付き合いで一緒に苗を植えたり、稲を刈ったこともある。あるとき、そんな百姓の手伝い仕事が済んで、二人小川の岸辺に立ってオシッコの飛ばしっこをしてたら、思わず力み過ぎ肝心な所を激痛が襲った!・・・。そのあとどうしたのか、はっきりした記憶は残っていない(誰かにリヤカーで医者に運んでもらった、ような気もするが)。

 高校を卒業した18歳から、二人の道は遠く、遠くへと離れて行く。大学を出て社会に入り、家庭を持つ頃には、彼の方は沖縄のひとと所帯を持ち、その地へ引っ越して行った。以来半世紀以上が経つうちに、互いを見たのは1020年に一度の割合だった。

 10年ぶりに聞く彼の声は、昔ながらのハスキーボイスだった。ふと思い立ち、古いアルバムを引っ張り出した。あの頃の田舎は写真も珍しかったが、卒業式の集合写真の他に、2~3人の写真も少しはあった。下に掲げるのはいずれも中学時代のものだが、3人居る方の向かって左は、かってこの場で紹介したことのある兼三君である(童謡「ちいさい秋みつけた」で歌われる秋が、紅葉した(はぜ)のことだと教えてくれた彼は、2年前に他界)。

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202293日)


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