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「チェチェン化」するロシア(真野森作・著) [読後感想文]

「チェチェン化」するロシア(真野森作・著)

 ロシアのチェチェン紛争のことを何度か耳にしたことはあったけれど、遥かに遠い国の内紛ゆえ馬耳東風と聞き流していた。ところがここへきて、プーチンの目付きがどうも気になり、そして突然思い出した、無名の彼が国民の人気を一躍集めたのはチェチェンの独立運動に対する苛烈な鎮圧であったことを。で、初めて読んだのだ、チェチェン紛争に係るプーチンのロシアに関する本(新聞社のモスクワ特派員がチェチェン共和国を訪れ取材したルポルタージュ)を。

 チェチェンは、ロシア連邦(人口約1.5億人、その80%をロシア人が占めるが、100以上の民族から成る多民族国家)の南西部国境に位置する小さな共和国(人口120万人、うちチェチェン人95%、イスラム教)であるが、ロシアからの独立志向が強く、ソ連が崩壊しロシア連邦が誕生した1991年以降、そのロシアから我も離れると独立を宣言、ためにロシアが軍隊を派遣、第1次チェチェン紛争、第2次紛争を経て、2017年漸く反乱を抑え込んだ。紛争による死者は不明だが、一説ではロシア兵13,000人、チェチェン兵32,000人。現在のチェチェンの最高権力者ラムザン・カディロフ首長は過激派ながらプーチンに極めて従順で、手勢をウクライナへも派遣していると言われる。

 死も厭わず独立したがるチェチェン人を何万人殺戮しても許さないのは非情に過ぎると、極楽トンボの僕などには思えても、多民族国家のロシアにとってはおそらく死活的な問題なのだろう。

 僕自身は、ソ連(ロシア)ビジネスに携わっていた時代にもチェチェンに足を踏み入れたことはない。ただ、そのすぐ右隣りのダゲスタン共和国(イスラム教国)には行ったことがある。30年も前のことだから記憶はほとんど飛んでいるが、ただ老人たちがカードか牌のようなものでのどかに遊ぶ、何とも牧歌的な景色が脳裏を過ぎる。

 チェチェン化するロシア?いや、他人事ではない。4月下旬、僕自身が家で転倒し、直後の記憶を喪失。病院で検査結果、脳の硬膜下血腫と判定され即入院、4泊を経て51日に退院したが、暫くは通院しながら経過を診ることになる。1カ月は禁酒するよう脳外科専門医(副院長)の厳命あり。瞬間、酒無くて何が己の人生か?・・・浮かんだ言葉を飲み込んだ。

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202352日)


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