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我と来て 遊べや・・・ [巷のいのち]

我と来て 遊べや・・・

 

 コロナのパンデミック到来と失業が重なって始めた近所の散歩も、いつの間にか2年半。少しでも人込みを避け、少しでも自然をと求めたら、来る日も来る日も同じ道をたどっていた。水分を摂るために途中で休むベンチさえ、馴染みになった。そこに静かに座っていると、雀が付近に舞い降りて餌を探すことがある。よちよちとホンの近くまで寄ることもあるが、捕らえるにはなお遠い微妙な距離を置いている。

 そんな雀に出遭うと、時々小林一茶の俳句を連想することがある。「我と来て 遊べや親の ない雀」。俳句も和歌も苦手で、特に今様のものは意味さえ掴めないものが多いが、(いにしえ)の俳句、特に一茶は、平易な語彙しか使わないのに情景がすぐ頭に浮かぶのは凄いなと思う。季語が勿体ぶらないのもいい。「親のない雀」は子供の雀、雀が産まれるのは春だから、季語は春なのだ。

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 雀を見ていて、ふと思い出した。知人に国立科学博物館のチケットを頂いたので、8月の茹だるような昼前、上野のお山に出掛けた。「化石ハンター展」という特別展で、ゴビ砂漠で発掘された恐竜と、ヒマラヤ・チベットで見付かった超大型獣の化石が展示されていた。あんな中央アジアの高原にもこんなどでかい奴らが跋扈していたんだ(!)。会場を廻りながらその頃の地球を想像しようとして、己の身の程知らずに気が付いた。もう直ぐ78歳を迎える脳味噌には、2億年もの時を遡るのはとても無理と諦めた。

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 恐竜の唯一の子孫は鳥だというが、いま散歩の道筋で出遭う雀は小さくて、人には付かず離れず、堪らないほど可愛く見える。これが恐竜の成れの果てだなんて、傘寿も間近い身にはとても信じ難いことだった。

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2022106日)


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