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日中友好侵略史(門田隆将)) [読後感想文]

日中友好侵略史(門田隆将)

 

 昨年になり突然、故・安倍晋三が「台湾有事は日米有事」と言い出したから戸惑った。だって半世紀も前に国連も日米もともに台湾(中華民国)とは縁を切って、その代わりに中国(中華人民共和国)を国連安保理常任理事国に迎え、外交関係を結んでいる。今更なんでやねん、と思ったが、この本を読んでやっと腑に落ちた。

 実に40年の長きにわたり、中国(というか、正確には中国共産党政権)の巧妙な友好という名の戦略に世界は騙されていたらしい。同書は語る、日本作家協会や公明党への働き掛け、田中角栄訪中時の出来事から橋本龍太郎へのハニートラップまで。そしてついに2010年、中国がGDPで日本を抜き世界第2位になった頃、漸く牙を剥き吠え出したことを。

 一方の台湾(中華民国)もまた激動の半世紀を生きたようである。台湾は大戦後26年の長きにわたり国際連合の安保理事国を務めた。だが1971年、大陸中国の国連加盟が議決された瞬間に席を蹴って退席(さながら1933年の松岡外相の国際連合脱退時の如く)、脱会して今に至る。他国との外交関係も失うが、20113月日本が東日本大震災に見舞われた時はアメリカと並ぶ断トツの約30億円の義援金を寄せている。

 今回もまた、著者の門田隆将の真摯な文章がとてもいい。この人の姿にはYouTubeで時々お目にかかるが、朴訥な語り口が何とも言えない。一献傾けながらじかに聞けたらと思うけれど、それは夢のまた夢であろう。

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20221015日)


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