黄色い秋 2023年 [巷のいのち]
日が短い冬場の夕方は、近所の小学校の学童の先に立ち数人ずつを彼らの自宅付近まで送る「パトロール」なる稼業にいそしむ日が多い。昨夕、そのパトロールの道に銀杏の葉っぱが散り敷いているのを、とある学童の女の子が歩きながら、気に入ったのを見つけると拾い上げ、掌に集めるのを時々手伝ってあげた。パトロール仲間の小母さんがご高説を垂れる、「銀杏は葉っぱで雌雄の見分けができるよ。割れ目があるのが雄で、無いのが雌なの」。そして僕だけに囁いた、人間とは逆ねえ。
前から不思議だった、銀杏の葉は何でいろいろなんだろう?割れ目が無いのもあれば、一つだけのものも、いくつも割れたものもある。小母さんにお礼を言った、お陰様でまた一つ賢くなりました。
パトロールから帰った晩、覚えたての知識を確認しようとパソコンで検索をかけた。と、いろいろ探すうち、目に飛び込んで来たのは・・・「切れ込みのある葉は雄で、無いのは雌という驚きの説は、俗説です。実際には葉で雌雄の区別はできません」。
ちょうど今、公園も街路樹も銀杏は真っ黄色に染まり、しきりに落ち葉を撒いている。昔フランク永井が歌った『公園の手品師』では、これをトランプのカードに喩えていた。去年の秋にも引用させてもらったので恐縮ながら、2番の歌詞は次の通り: 「雲が流れる公園の 銀杏は手品師 老いたピエロ 口上は云わないけれど なれた手つきで(中略)カードを撒くよ 秋がゆくんだ 冬がくる 銀杏は手品師 老いたピエロ」。
(2023年12月13日)