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謀略と捏造の200年戦争(馬渕睦夫/渡辺惣樹) [読後感想文]

謀略と捏造の200年戦争(馬渕睦夫/渡辺惣樹)

 ユニークな対談集である。フランス革命から現下のウクライナ戦争に至る200年以上は、見えぬところで常に謀略に満ちており、一般に流布される釈明史観(教科書的歴史観)は捏造されているとお二人は説く。一方の論者・馬渕睦夫(もとウクライナ大使)は、世間は自分を陰謀論者と(そし)るがと自虐し、他方の渡辺惣樹(歴史学者)は自らを歴史修正主義者と(けな)して憚らない。

 読むにつれ、ロシア、ウクライナはともかく欧州と米国の歴史について余りにも知らぬことが多いことに愕然とした。そういえば学生時代、歴史の授業は明治維新の頃で終わってしまったような気がするが、あれはもしかして、敗戦に伴う価値観の激変に歴史の先生がフォローできなかったせいだろうか?とにかく初耳だらけの対談の中から、ほんのいくつかを挙げてみよう:

《共産主義者の米国大統領》

 第28代アメリカ大統領ウッドロー・ウイルソン(第1次世界大戦当時)も、第32代フランクリン・ルーズベルト(第2次世界大戦当時)も、ともに実質的には共産主義者だったと手厳しい。前者は、任期(19131921年)中の1917年にロシア革命が実現したとき、素晴らしい革命だと礼賛したという。なお、1919年に日本が国際連盟規約に人種平等を盛り込む提案をした際、16票中11票が賛成する中、連盟の議長だったウイルソンが全会一致を主張したため成立しなかった。一方のフランクリン・ルーズベルトは、大統領就任初年の1933年にソ連邦を承認、第2次大戦(1939-1945年)における米ソ協力に繋がった。

《ウクライナ戦争》

 対談者二人は一致して、この戦争の仕掛人は英米のグローバリスト(ネオコン)であって、ノルドストリーム2(ロシアードイツ間ガスパイプライン)を爆破したのも彼らであると主張、プーチンが戦っている相手は世界制覇を目論む彼ら欧米支配層であって、ゼレンスキーはアメリカの操り人形に過ぎないと言う。従ってプーチンの相手は所謂ディープ・ステートということになり、俄かには信じがたい説ではある。ただ、これまで余りに不勉強だった我れとしては、今は虚心坦懐に構え成り行きを注視したいと思う。 

 写真は最近散歩道でで出遭った百日紅(さるすべり)凌霄花(のうぜんかずら)に鉄砲百合。照り付ける陽をものともせず、それぞれがピンクに、橙色に、白色に、妖しげに輝いていた。

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2023819日)


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