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地球が段々虚ろに見えて  [巷のいのち]

地球が段々虚ろに見えて 

 先月79歳を迎えた。それを昔の人は傘寿と言った。その日は、しかし欧米風でも古式にも沿わない我が家では、普段通りに過ぎて行った。この3年半、数えてみれば人様との付き合いが激減して久しい。それをコロナのせいにしていたけれど、最近になって漸く気が付いた、齢を取るとはそういう事なんだと。

 人様との交流が絶えるにつれ、ふと出遭う花鳥虫けらの類いに目が行くようになった。例えば7月の真夏日、足元を這う芋虫に気が付いた。黒い体に赤い縦の線が走り、その両側に赤いトゲ状の物が一杯生えている。スマホに収め、グーグルに問うと褄黒豹紋(つまぐろひょうもん)という答え。調べて驚いた、去年のちょうど今頃、黄花コスモスの蜜にしゃぶり付く綺麗な蝶を撮っていた。それこそ成虫の褄黒豹紋だったのだ。

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 例えば先の9月末、もこもこと肉付きの良いのが這っていた。黒地に黄色の横線をいくつも巻いた芋虫は、グーグルの判定では背筋雀(せすじすずめ)。成虫になった姿をネットで探したら、褐色の翅に黒い縦縞が走る、これもなかなか美形、但しそれは蛾であった。

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 ところで我が半生は酒にまみれ、独り酒に酔い痴れることさえあったけれど、それも絶えて久しく、外食に出ることさえ稀になった。先日は六義園にちいさい秋を探しに行ったその帰り、久し振りにラーメン食わんと立ち寄った月山亭が無くなっていた。おまけに近年では一度だけ独り酒を愉しんだ、もつ焼きの新潟屋に休業の看板が掛かって週が過ぎた。知り人との出会いが絶え、馴染みの店も次から次へと消えて行く。地球が、なんだか段々虚ろに、虚ろに見えてくる。

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20231011日)


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