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昨日の敵は、今日の友 [読後感想文]

昨日の敵は今日の友



 『諜報国家ロシア』(保坂三四郎)に教えられ、特に心に残った点を一言で言えば、「昨日の敵は今日の友」。特に強く印象に残ったことを、以下に要約してみたい:


 【アメリカとロシア】


今こそアメリカはロシアと戦うウクライナに大量の武器、弾薬その他の物資を援助しているが、そのアメリカは今を去る80年前、膨大な量の軍事物資をソ連に貸与。このため当時米英ソのテヘラン会談でスターリンが認めている、もしも米国の支援が無かりせば、ソ連はナチスドイツに負けていただろうと。後にフルシチョフが回想録に記している、そのことをスターリンは(国民には言わなかったが)幾度となく打ち明けたと(なお、本書によるとソ連は戦後様々な理由を付けて、これら貸与への返済を拒否したらしい)。・・・・かくの如く当時フランクリン・ルーズベルトとスターリンのソ連は「友」だったが、その後45年にわたる冷戦時代は仇敵同士となり、ソ連崩壊後の30年は縒りを戻していたけれど、今は再び「敵」として相まみえている。


【ロシアと東欧・バルト諸国】


 ソ連とその継承国ロシアは、第2次世界大戦の中の独ソ戦(19416月~19455月)を大祖国戦争と称して、自国を含む欧州をナチスドイツから救ったと自負している。だが、欧州の中の東欧・バルト諸国にとっての戦争は、実はその2年前に始まっていた。というのも後に救済者と称したソ連自らが19398月独ソ不可侵条約を結び、秘密議定書で東欧・バルト諸国の分割を謀り、翌9月には独ソが東西からポーランドに侵攻、ソ連は更にバルト3国、ルーマニア、フィンランドに侵攻したからである。即ち19391941年の2年間、独ソは蜜月関係にあった末、突如、昨日の友が今日の敵になった訳だが、後にコメコンとしてソ連との共同防衛圏に組み込まれた東欧・バルト3国にとってソ連は、ナチスと共謀した侵略者であった。


【ロシアは、ソ連の犠牲者?】


  ソ連崩壊の前年、当時ロシア(共和国)大統領のエリツインはインタビューで、「ロシアは何十年にもわたって『ソ連』の他の共和国を助けてきた結果、自らの国力を使い果たした」と述べた。共和国と共和国の関係も、国対国の関係も、まるでひとり一人の人間関係のようにそれぞれの視座により微妙にも、また極端にも変わるらしい。昨日の友は今日の敵、- 信じたくはないけれど、歴史はそのように物語る。


 長く暑い夏が続いたが、10月に入り急に涼しくなってきた。シルバー人材センター斡旋の学童帰宅パトロール稼業も昨日、久しぶりに再開。酷暑の半年間は一日の歩行が精々二~三千歩だったのが、パトロールの昨日は一万歩、脚が棒になった。写真は、途中で見掛けた今年初めての紅葉(ウルシ)と、たわわに実ったガマズミの赤い実。ガマズミはロシア語でカリンカ。遥かに遠い昔、モスクワのボリショイ劇場で聴いた赤軍合唱団の「カリンカ」が懐かしい。友よ、秋が来たのだ。


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2023104日)


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