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コールダー・ウオー(その2) [読後感想文]

コールダー・ウオー(その2

 

 知らぬは我のみか?著者マリン・カツサによれば、アメリカが世界で勝手気儘な行動ができる要因の一つはペトロダラーシステムにあるという。このシステムは半世紀近く前の1974年、ニクソン、キッシンジャー時代のアメリカがサウジアラビアと石油代金決済を米ドル建てで行うことに合意し、OPECがこれに追随したことで確立し今に至る。このシステムにより世界の金融がアメリカに牛耳られているのをかわすために、プーチンのロシアは原油・天然ガス等の決済を米ドル以外の方法に切り替えることを模索している(同じ理由で習近平もまた、人民元建て決済を画策中)。

 同書に於いて米ロ間の激しいエネルギー戦略のせめぎ合いも紹介されている。中近東については国別に状況が分析されており、いずれの国も勉強になったが、特にイスラエルについては「おやっ?」と思ったことが二つある。一つは、イスラエルはてっきり石油もガスもない砂漠の中の資源小国だと思い込んでいたのだが(現にこの本でも、かってネタニャフ元首相が自虐的に「モーゼはイスラエルの民を中東で唯一石油の出ない国に導いた」と語ったことが紹介されている)、2000年になってあにはからんや、イスラエルの沖合に膨大な埋蔵量のガス田が発見され、2004年には既に商業生産が始まっているんだと。知らぬは我ばかりか知らねども、いやあびっくりこいた。

 驚いた二つ目、それはイスラエルはてっきりアメリカの同盟国だと信じていたのに、この本によると、ロシアとの結びつきも物凄く強いらしい。プーチンはイスラエルを「ロシア語の国」と呼んだそうだが、実際人口の半分がロシア東欧からの移民とその子孫で、全体の20%が今でもロシア語を話すらしい。

 突然思い出した。あれは確か30年ほど前、商社に勤めていた僕はソ連のとある政府機関の訪日代表団を世話することになり、ある日偶々団員の一人をサウナに案内することがあった。スチームが充満する中で彼が問いかけた、亡命したいがどうしたらよいかと。元来が鈍い僕は淡々と反応、いやあ日本ではちょっと無理でしょうと。そして数年後に耳にした、欧州のとある国に出張した彼がイスラエルに亡命したと。彼はユダヤ人だった。

 

 心肺ともに基礎疾患を抱える我、マスク着用は余りに息苦しいため普段は外し、人様に接近する都度慌てて被る。そんな生活がもう二年半、だから一期一会の相方も随分と変わったもんだ。写真の相手は女郎蜘蛛。7月初めの出遭いだったが、丁度糸を吐き出す瞬間を(お情けで)見せて頂いた。

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2022926日)


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