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コールダー・ウオー(その3) [読後感想文]

コールダー・ウオー(その3

 

米国とロシアは石油と天然ガスという重要資源の生産に於いていずれも世界のトップクラスであり、従って「コールダー・ウオー」はこのエネルギー資源を巡る米露両国間のせめぎ合いについても言及、わけても天然ガスについては輸出量に於いてロシアが断トツなだけに、その輸出用パイプラインに関するプーチンの戦略について多くの紙面を割いている。

古い話になるが、ロシアの、いやソ連の天然ガス輸出パイプラインには尽きぬ個人的な思い出がある。もう半世紀も前の1975年モスクワに赴任したその年に、日本はソ連から大量かつ世界最大口径(外径1.4メーター)のパイプを受注した。それはロシアからウクライナを経て東欧諸国に至る最初のガスパイプライン敷設のための大径鋼管であった。以来毎年大量の大径管が日本からソ連に輸出され、1988年にはついに1000万トンを突破するに至ったが(同年5月東京に於いてソ連向け大径鋼管1000万トン達成記念祝典を開催)、取引はソ連の崩壊とともに自然消滅した。

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僕の記憶はそこで途切れるが、「コールダー・ウオー」が描くソ連崩壊後のロシアのヨーロッパ向けガスパイプライン状況は一変する。ウクライナを通るパイプラインの通過料やウクライナがロシアに支払うべきガス料金を巡り、両国は何度も喧嘩、挙句の果てウクライナはあからさまな盗ガスまで始めたという。このためウクライナを通るガスが年々減少する中、ロシアはウクライナを迂回するルートを模索、一つはロシアからドイツまでバルト海を経由する海底パイプライン2本(ノルドストリーム1、ノルドストリーム2)、今一つは黒海からトルコまでの海底パイプライン(サウスストリーム)で、これらすべてが既に敷設済みというから驚いた(サウスストリーム2は未稼働)。浦島太郎たあ、僕のことだった。

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写真は、今日の隅田河畔で出遭った精霊蝗虫 (しょうりょうばった)

2022928日)


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