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尖閣1945(門田隆将) [読後感想文]

尖閣1945(門田隆将)

 

 門田隆将の最新作『尖閣1945』が運良く早目に図書館で借りられた。この人のノンフイクションは面白いので広告が目に付き次第予約を入れるようにしているが、数えたらこれが8冊目、その中でも特に印象的だったのが『汝、二つの故国に殉ず(主人公は台湾と日本のハーフ湯徳章)』と『この命、義に捧ぐ(同・根本中将)』であるが、本書も感動しつつ読み終えた。途中幾たびか目頭が熱くなったのは、その時舐めていたお湯割りのせいだけではなかったと思う。

 尖閣は、1968年に東シナ海で国連が実施した海洋調査の結果、付近に石油埋蔵の可能性が取り沙汰されて以来、実効支配を狙う中国の動きが活発である。だが著者は史実に基づき反論する。それに先立つ73年前の1895年(明治28年)既に日本政府による尖閣の領有宣言が発せられ、これに基づき古賀辰四郎(福岡出身)が現地でアホウドリの羽毛採取と鰹節生産を目的とする古賀商店を経営、ために一時的ではあれ古賀村が生まれ、最盛期の人口が248人を数えたことを。古賀商店は、しかしアホウドリの減少に伴い事業から撤退、尖閣は再び無人に戻った。

 『尖閣1945』は、それから半世紀後の19457月、日米戦争の終戦間際、迫り来る米軍に追われ2艘の小型船に分乗した180人の石垣島の住民が難破、尖閣に辿り着き、食う物も無い中、50人以上を失いながら50日以上を経て救出されるまでの出来事を描いた実話である。生き残って石垣島に戻れた人は文字通りの骨と皮ばかりで、出迎えた肉親にさえ判別困難だったという。そんな極限状況で生き残った人達の執念たるや凄まじいけれど、それから80年近くが経った今頃になって、遠くに住むはずの僅かな生き残りと子供や孫を追いかけ証言や記録を拾って読者に訴えかける門田隆将とは一体どういう人なのか?時々はユーチューブで直には見てはいるけれど、やっぱり不思議な人だと思いながら、本をおいた。

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2024119日)


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