大叔父(おおおじ)一家の満州譚(その1) [忘れ得ぬ人々]
大叔父一家の満州譚(その1)
昨年11月投稿の『抑留記と脱走兵』の中で、子供の頃いとこ伯父の貞マ(貞夫の敬称、ふる里の方言)から聞いた、シベリアに向かう列車から飛び降りた脱走劇について紹介したが、このことを故・貞マの子供(僕のまたいとこ)に報告したいと思い、とある心当たりに相談したところ、数日後に受け取ったメールは貞マの次男坊・哲夫君(僕より6歳若い)からだった。ブログを読んで、懐かしさに涙したという。以来何度かのメールのやり取りの中で、満州に雄飛したはずの貞マ一家、というよりその父親・澄一一家に何が起こったのか、その全体像がぼんやりとではあるが見えて来た。といっても、哲夫君自身が生を受けたのが一家帰国後4年目のことなので、すべては又聞きの世界である。ではあるが、次稿以降数回に分け、この場を借りておのれ自身の縁を覗いてみたい。なお、時代も場所も前稿で取り上げた『ソ連が満州に侵攻した夏』(半藤一利)と奇しくも重なるため、所々で同書を引用したいと思います。
写真は、正月明けの名主の滝公園(東京都北区王子)。モミジも銀杏もすべての葉を打ち落としてスッポンポンの丸裸。池辺には寒空の下、甲羅を干すいつもの亀どもは姿無く、ひとり羽毛に包まるマガモたちがそれでも寒そうに水面を掻いていた。
(2023年1月14日)
コメント 0