六義園 秋のハゼノキ(2022年)


 


  ハゼノキの紅葉と言えば六義園に尽きるのではあるまいか。井の中の蛙が跳んで入ったのは、他には旧古川庭園と小石川後楽園ぐらいのもんだから、大きな声では言えないが、六義園の秋はハゼノキでもっていると思う。前稿で渡月橋のハゼノキを紹介したが、園内にはその他にもハゼノキがそこかしこに散在し、かつ少しづつ紅葉し、少しづつ落ちるので、秋が実に長いのだ。


 今年、ハゼノキの緑の葉叢の一部が朱く染まっているのに最初に気づいたのは10月上旬。それからは訪うたびに朱色が増え、やがて全身が炎のように燃え上がったけれど、炎は一つづつゆっくりと消えて行き、12月に入っても疎らに枝に残る朱色は切ないほどに美しい。写真は、今年の秋のそんな変遷の欠片です。




2022125日)