渡月橋の秋2022


 


 渡月橋といっても、あの有名な京都の渡月橋ではない。東京の駒込にある六義園の、長さ10メーターにも満たぬ小さな橋である。六義園に足を踏み入れたのは2年前、ちょうどサラリーマン生活から足を洗った頃からコロナも流行り始めて遠出が難しくなったので、それまで勤しんでいた山歩きをやめて、庭園に自然の息吹を求めたのが動機だったと思う。電車で3駅という便利さもあって、年に何度か訪れていたが、この秋は毎週のように門を潜っていた。


 そして気が付いたら、いつの間にか渡月橋の風景を望める川辺が一番のお気に入りのスポットになっていた。そこに立つと、橋を挟んで左にモミジが、右に(「ちいさい秋みつけた」の)ハゼノキが枝を広げている。モミジの秋はアッという間だが、ハゼノキのそれは長い。一葉々々が時間差をおいて色付き、全葉が一斉に朱く染まっても、散るのはまた一つづつ、実に半月以上にわたってそれぞれの婀娜(あだ)な姿を見せてくれるから堪らない。


 写真は、最初の3葉が順に今年の1119日、1124日、124日に、そして最後の1葉は一昨年11月下旬に撮ったものである。


 



2022124日)